『特別編 響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜』京アニスタッフインタビュー記事まとめ+記事の感想

自分が気づいた範囲ですが、『特別編 響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜』に関する京アニスタッフインタビューが掲載されている媒体をまとめてみたいと思います。

…とはいっても京都アニメーション公式Xがリポストしてくれてるので全然有益じゃないですが...。
あとでインタビュー記事の在り処をわかりやすいようにしたいので、感想を交えつつピックアップ。

石原監督✕小川副監督 対談(2023年6月12日 『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』公式ホームページ)

anime-eupho.com

冒頭の質問でインタビュアーが「『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』(以下『アンコン編』)の制作が進んでいますが、いかがですか?」と聞いているので、公開されるよりも少し前に行ったものでしょうか。ほかのインタビューとか舞台挨拶を聞くと、もう既に3期の制作が進んでいるという話がでてくるので、数少ない本作制作中のインタビューなのかもしれません。

今読み返すと、小川さんが「オーメンズ・オブ・ラブ」の部分に言及してたり、本編の制作に関わる話が結構出てきていますね。短いインタビュー記事ですが、経緯から本編の注目ポイントまで、簡潔に網羅されてて素晴らしいです。

『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』石原立也監督×小川太一副監督インタビュー(2023年8月2日 アニメイトタイムズ)

www.animatetimes.com

公式ホームページのインタビュー記事を読んだ直後にアニメイトタイムズの記事を読むと、なんというか、絶妙に深掘りされてる感じがして面白いです。

「アンサンブルコンテスト」を選んだ経緯についてだったり、小川さんが映像化するにあたって起承転結を作ることに悩んだ、といった部分だったり、重複した内容なんだけれど、上手く掘り下げられてる記事です。

個人的に印象に残ったのは2ページ目のここ。

――本作で、部長になったばかりの久美子を描く際、特に意識したことなどを教えてください。

石原:『アンサンブルコンテスト』では、まだまだ四苦八苦しているかな。

小川:そうですよね。コンテを描く時にも意識したのは、部長の久美子をちゃんとしすぎないってことでした(笑)。

原作を読んだとき、ミーティングのシーンの久美子はなんだかんだ部長をやれているイメージがありました。アニメだとミーティングが始まる前のおしゃべりが少しずつ治まる、みたいな演出がありましたが、原作では強豪校らしく粛々とミーティングが始まっていたり。

久美子もそうですし、新生北宇治吹奏楽部の「これから感」が小川さんの言う「ちゃんとしすぎない」という要素とイコールなのかな、と思いました。

久美子の日常と成長を描く 『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』石原立也監督インタビュー(2023年8月11日 Febri)

febri.jp

前後編の記事。本作公開後の掲載だからか、具体的なシーンへの言及が多いですね。

石原さんが久美子と麗奈の廊下のシーンや奏のシャドーボクシングに言及していて、どっちも意識的に描いたコンテじゃない、みたいな発言をしていますが、ああいう体を大きく動かす芝居は今までも石原さんの演出でありましたよね。石原さんの感覚として染み付いている、キャラクターの個性を出す芝居なのだろうなぁ、と記事を読みながら考えたりしました。

石原さんがマリンバに言及する部分も増えてきました。

想像以上の演技力を|『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』石原立也監督取材(2023年8月11日  コトカレ)

kotocollege.jp

こちらも前後編の記事。媒体が学生向けのウェブサイトなので、内容も具体的な部分までの言及は少ない気がしました。

ただ、その分、石原さん自身のお話が多くて興味深いです。後編は特にその色が強くて読み応えありました。京アニらしさとは、と問われて「愚直さ」と答えた石原さん。以前アニメスタイルの『日常』特集で、石立さんも「よくも悪くも真正直に作品と向き合う会社*1」とお話されていましたが、ほとんどおんなじことを言っていて面白かったです。

あとベレー帽を被っていない石原さんの写真がレアです。

『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』総作画監督池田和美さんインタビュー(2023年8月13日 アニメイトタイムズ)

www.animatetimes.com

いろんな部分で気を遣う役回りになった池田さんですが、インタビュー冒頭の「まず最初に思ったのは「これは責任重大だぞ」ということでした。」という言葉は、かなり重たい言葉だなあと思いました。ファンからもスタッフからも前作との比較をされつつ大役をこなすのって、本当に生半可なことじゃないと思います。

個人的に印象に残ったのは、デザイン面での魅力を聞かれた池田さんのコメントです。

池田:体温と体重がしっかり感じられて実在感があるところです。ぽっちゃりしているといった話ではなくて、ただ立っているだけの絵でも、骨があって肉があって、しっかりと地に足がついている、という感じがするんです。瞳や髪などはカラフルでキラキラしていてアニメ的だけれども、この「重み」の部分が演技と相まってキャラクターの存在感を増幅させていると思っています。

これめちゃくちゃわかる…!となったわけですが、言語化がちょっと難しいです。個人的には本作で言うと、冬服の厚み・重たさを感じる部分が実在感というのに繋がっているのかなと思ったりしました。

例えばこのカットとか、冬服着ている感じが強くないですか?

背中の襟のたれてる感じとか、腰から臀部にかけてのラインと、そこから垂れるスカートとか、左足に少し乗ったようなスカートの裾とか。冬服のかさばる感じと重たさを感じる「垂れ」がいろんなところにあるっていう。

 

このカットもまさしく、かさばって体のラインが出てない服装ですが、体の厚みを感じるところが、池田さんが口にした「重み」に繋がってるのかな…と思ったりしました。

響け!ユーフォニアム:4年ぶり新作 何気ない日常を丁寧に描く 石原立也監督が込めた思い(2023年8月14日 MANTANWEB)

mantan-web.jp

短いインタビュー記事ですが、内容濃いです。

「つばめのように自己肯定感の低い人は結構いるんですよね。僕自身もそうですし。『自分のやりたいようにやっていいんだよ』と少しだけでも肯定させてあげる、というのが、この作品で描きたかったところです」

ここの、つばめに対する言及も面白いです。つばめが自分自身を肯定するまでの導線を久美子が引いているわけですが、自己肯定ができるようになってきたつばめと、そこに至らせた久美子の部長像、みたいなものが強調はされず、かすかに見える感じ。これが上手だなあと思いました。

渡り廊下のシーンについての言及も多くはないですが面白かったです。

日常のさりげないところで、重要な話をすることってありますよね。マリンバを運ぶシーンが今回のクライマックスだと思っています。

マリンバを運ぶのに立ち位置を変えながら会話をする、という部分は原作にも描写はなく、石原さんのアイデアが全面に出ているシーンです。目線を合わせないからこそできる重要な話、という演出。

『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』パンフレット 石原立也監督、小川太一副監督、池田和美総作画監督 スタッフディスカッション

身内だけの鼎談だからか、インタビュー記事とは全くと言っていいほど話が被っておらず、和気あいあいとした空気感が楽しいです。

チーム紹介の手書き文字を石原さんが書いたという話の中で、

小川 あと以前に石原さんと演出について話していたときに、人間って余計なことするよねって話をしていて。例えば…石原さんはインタビュー中なのにノートに鯉のぼりの絵を描き始めていますけど…。作中でもキャラクターが何かをするときに別の動作を入れたりしているじゃないですか。

石原 何か無駄なことをさせないとキャラクターの芝居が人間っぽくならないと思うからね。

ここのくだりは、小川さんのライブ感あるお話も含めて面白かったです。本作でもすぐに思い浮かべられるところが結構ありますよね。記事で言及されている奏の芝居もそうですし、会話中に周辺をフラフラする希美とか、足をプラプラする久美子とか。小川さんの思う石原さんのキャラクター演出にも言及されている部分で、スタッフコメンタリーだと石原さんが途中で遮ってしまいそうなお話なので、貴重です。

月刊ニュータイプ2023年9月号」石原立也監督インタビュー

2ページのインタビュー記事。

上記記事と重複する内容も多いですが、マリンバに深く言及しているところが他の記事と大きく異なります。記事中で名前は出していませんが、NHKの料理番組のテーマ曲を作られた、マリンバ奏者で作曲家の冨田勲さんについて話題が上がっていました。

 

以上です。

随時更新していきたい。

以下追記。

Megami Magazine(メガミマガジン) 2023年10月号」監督・石原立也、脚本・花田十輝スタッフインタビュー

メガミマガジンだしちょっとしか枠ないんだろうな~って思ったら3ページに渡ってのインタビュー記事が載ってました。作品公開から時間が経っているのもあって、北宇治高校吹奏楽部の幹事選出についてや久美子と麗奈の関係性等々、結構掘り下げた話が多いです。

演出に関してはこんな内容がありました。

花田 僕が今回印象的だったこととして、久美子がけっこう脚をバタバタさせているシーンがあったんですよ。これって久美子の迷いを現すような仕草だったのかなと思ったんですけど、実際どうなんですか?

石原 そこまで考えていなかったかもしれないですけど、人は考え事をしているとき体を動かしていることがあると思うので、それが出ていたのかもしれないですね。

教室で麗奈と話すシーンのことですね。個人的には迷いの表現でもあり、部内にいる久美子が肩肘張らずに本音を打ち明けられるようになった、みたいな開放の表現でもあると感じました。今までの久美子は言わなきゃいけないと切羽詰まったところまでは心の内に留めようとしていて、それがたまに声に出てしまいツッコまれる…みたいなシーンがありました。そこから『アンサンブルコンテスト』では、部長という役職を担う久美子が副部長の麗奈へ「ここぞ」でなくても部内の人間関係とかに言及ができるようになりました。その環境の変化が、リラックスした久美子の表現として脚のバタバタを生んだのかな、と。

石原 こちらでシナリオにない、動きでのスキンシップを加えることはありますよ。今回だと洗面所で久美子が麗奈に抱きつく描写は、シナリオだともう少し軽い感じだったのですが、絵コンテの時点でけっこう大胆に抱きつくようにしています。

(中略)

石原 僕も2人を抱きつかせることはありますけど、これでもあんまりベタベタさせすぎないようには気をつけているんですよ。久美子が麗奈に抱きついたシーンって、そのあと久美子の「私より上手い子が入ったら麗奈はどうするんだろう」というシリアスなモノローグが入るんですよ。そのシリアス感を和らげるために、じゃれているようなシーンを入れたかったんですよね。

別記事でも書きましたが、ここらへんが石原さんのバランス感覚の良さだなあと思うんですよね。二人の距離感にも配慮しつつ、二人の関係性の心地よさも示すようなバランス感覚。そして「二人のシーン」という意味合いだけでなく、そのあとの久美子のモノローグによって部長としてだけでなく、久美子個人の不安感をも描写するところが本当に素晴らしいです。「視聴者へのご褒美シーン」だけではなくて、久美子の少しセンチメンタルな部分に触れる前のクッション的な役割でもあるんですよね。

花田 じつはあの写真の演出って、シナリオの時点では入れる予定がなかったんです。あれを入れることになったのって、絵コンテの段階とかですか?

石原 もっと後ですよ(笑)。当初は久美子達が「オー!」って気合を入れて、そのあとすぐラストの公園のシーンという感じでした。でも制作がもうそろそろ終わりに差し掛かろうという段階で、全体を通して見るともう少し情報が必要ではという意見が出たんです。どうしようかと悩んだ結果、写真による部員紹介をしながら結果発表を入れようとなったんです。

「あの写真の演出」は終盤の部員紹介シーンを指しています。終盤のシーンがコンテ後のアイデア、というのは初出しの情報のような気が。
完全に憶測ですけど、このアイデアって小川さんっぽい気がします。OPの「写真の演出」も小川さんとか原画マンのアイデアだと舞台挨拶とかで触れてましたが、メイン級のキャラ以外の存在そのものや、部員同士の関係性という意味では終盤のこのシーンも同義だと思うんですよね。『アンサンブルコンテスト』の始めと終わりに同じようなフックを作るためにも部員紹介の時間を改めて作ったんじゃないかな、みたいな。

 

*1:月刊アニメスタイル」第5号 38ページ。

「私たちは、いま!!特別展」(オリオン書房ノルテ店 2023.8.4~9.3)に行ってきました。

「私たちは、いま!!特別展」の公式ホームページで展示の情報が出たときは「響け!ユーフォニアムシリーズ」の展示、みたいな書き方だったと思うんですが、『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト』の公開が近づいたタイミングでその本編原画を展示しますよ、という驚きの情報が。

ということで公開初日に本編を見た後、その足で立川に行ってきました。

展示内容と展示点数は以下の通り。

リズと青い鳥

展示のほとんどが終盤のカットでした。
リズと青い鳥』の原画は何回も見てるんですが、微妙な表情の描き方だったり、髪の束とかほつれの繊細さに引き込まれます。

 

「希美といられればなんだっていい」のカット。夕景のシーンで光を意識した髪の毛の処理が印象的です。ほつれた髪の毛の色トレス、夕景の影...髪だけで色々な処理がなされてるのがよく分かります。

 

『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト』

CDジャケットイラストの他、本編のいろんなカットの原画がありました。
良いなーとなったのはまずこの奏のカット。梨々花がメンバー表持ってくるシーンの冒頭のところです。表情を崩さない端正な原画が、猫を被った奏のキャラクターにもよく合ってます。奏が登場する時間は短いですけどナイスチョイスでした。そういえば、この原画展ってどなたがチョイスしてるんでしょうか。

 

作監修正もありました。一番上は徳山さんの作監修正でしょうか。この前の原画展にあったツルネ2期11話の作監修正と同じ、作品名を書いて四角で囲む書き方です。
真ん中はAの描き方とかが岡村さんっぽいですね。作監パートは半パートずつとかじゃなくて、割と入り乱れてる感じなんでしょうか。
一番下のは池田さんですかね?本作パンフレットに池田さんの総作監修正が載っていましたが、おんなじ筆跡に見えました。上2つと同じレモン色の用紙に見えましたけど、作監としても作業されてるんでしょうか。

 

太田さんの楽器修正です。めちゃくちゃ細かい作業で、もう息を呑むばかりです。
併せて、端書きから作業途中での変更点がすごく多いことがわかります。高橋博行さんが楽器作監をやっていたときにも多かれ少なかれあったんだと思いますけど、制作体制が変わったことでの試行錯誤が見て取れる、とても興味深い端書きです。
今回は今までのシリーズ作品よりも楽器を映したカットが少なかった気がするんですけど、それでもこれだけの描き込みですから簡略化しなければいけない工程が多々あるんでしょうね…。この修正を見ていたら自然と「太田さん頑張れ…!」と心の中でエールを送ってしまいました。

 

ここらへんの芝居作画は上手でしたよね。本作はツルネ2期の岡村さん作監回に参加していた原画マンが多くクレジットされてますけど、ツルネ2期岡村さん回も柔らかい芝居作画が多々ありました。このあたりの夏紀の表情芝居とかも岡村さん回に似たような部分があったので、岡村さん回の原画マンさんかなあと見込んでたりします。

 


チョコまんを食べる麗奈のカットも柔らかい芝居でとても良かったです。なんていうんでしょう、ちょっと弾むような、動きと動きの間の絵を入れる感じがツルネ2期岡村さん回にも結構あったんですよね。

 

メンバーごとの決めポーズカットもたくさん展示されてました。中央でポーズをとる堺万紗子のボスっぽい感じ、好きです。
個人的には3年生組が参加してるカットが好きなんですけど、その原画は「JEUGIA 三条本店」の展示に行ってしまってるようです…京都まで見に行きたい…!

 

以上です。
作監修正のみならず楽器修正も展示されてましたし、とても見応えありました。今度また展示があったら奏のシャドーボクシング原画とか見れたら嬉しいです…!
今回の展示は数が多いですし、まだまだ展示期間もありますので興味のある方はぜひ。


iphoneで撮ってるんですけど、今更になってグリッド線の表示をすればいいことに気づいてしまいました…。

『特別編 響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜』舞台挨拶(2023.8.5 新宿ピカデリー 11:50上映回)に行ってきました。

『特別編 響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜』、ついに公開されましたね。感想も書きたいところですが、今回は8月5日(土)の新宿ピカデリー 11:50の回、上映後に行われた舞台挨拶についてまとめたいと思います。

司会進行は松竹の宮嶋さん。登壇者は原作者の武田綾乃さん、石原立也監督、小川太一副監督。

発言はママでなく要約。敬称略です。

本作の企画の経緯は。

小川 ドラマCD*1を作るとなって、物語を選ぶとき、「アンサンブルコンテスト」はボリューミーで選外となった。でもどこかで映像化したいよね、という話が京アニスタッフ内であった。そんな中、『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』から約4年もたってしまい、また、ファンの方の続編を待ち望む声もあり、「アンサンブルコンテスト」を題材に映像化しようとなった。「アンサンブルコンテスト」は『誓いのフィナーレ』と3期の間の時期の物語というのもあって、作りやすいというのもあった。

石原 ドラマCDのときに話があったのは忘れてた。

他に映像化の候補となっていたエピソードはあるか。

石原 覚えてないな…

小川 アニメオリジナルもありだよね、という話も出ていた。ただ、京アニ社内の吹奏楽経験者に話を聞いたら、アンサンブルコンテストは吹奏楽の記憶の中でも印象に残るものだった、という話を聞いた。あとは、いままで合奏ばかり描いてきているが、少人数編成を描くとカメラの向け方が変わるのではないか、面白くなるのではないか、という思いもあって「アンサンブルコンテスト」になった。普段だと久美子、麗奈、葉月、緑輝の4人にフォーカスが当たってしまう。つばめという普通の部員にフォーカスを当てられたことに、価値があったと思う。

武田先生と石原監督が初めて顔合わせしたときの思い出は。

武田 10年前くらいで、当時大学生だった。出版社の人と一緒に京アニに伺ったけれど、京アニ作品は学生時代から見ていたので緊張していた記憶がある。あとは迷子になって京アニの方に迎えに来てもらった記憶。京アニ所在地のGPSがずっと川底を示していて全然たどり着けなかった…。

響け!ユーフォニアム』シリーズでどれか一つ選ぶとするなら。

(スクリーン上に『響け!ユーフォニアム』シリーズのアニメ作品を作品公開順に並べた画像が投影される)

石原 10年前ってそんな昔に思えない…と言いつつ忘れていることは多いんだけど。10年の間には他作品も作っているけど、10年の割にたくさんやってきたなと感じる。

小川 自分は『劇場版 響け!ユーフォニアム ~届けたいメロディ~』を選ばないと行けない気がする…*2。テレビシリーズの自分の話数*3を削ったりしたけど、もっとあすか先輩を描きたかった。

石原 私は『響け!ユーフォニアム2』。お話を作るときには終わりの部分が絵的に見えていると良いけれど、『響け!ユーフォニアム』のときはとにかくがむしゃらにやっていた。いろいろ要領を得た2期はやりやすかった。

武田 私も2期。アニメ作品として続くのか、という驚きがあった。あとは一番書いていて大変だったのがあすかだから。

1期制作開始当初のロケハンについて。

(スクリーン上に石原監督が撮影したロケハン写真が6点投影される。大吉山の東屋や東屋からの景色、JR宇治駅前のお茶壺ポストなどの写真)

石原 これは2014年6月5日、あがた祭の取材写真。東屋の写真にはちょうど柱に顔が隠れて花田十輝さんがいる。この日の翌日に武田先生と始めて会った。

小川 このときにはなかったものが今はあったりするから制作時には気をつけなきゃいけない。京阪宇治駅前とか、今だともっときれいになってる。*4

石原 この取材写真は一番最初のロケハンの写真。そのときから風景が変わったところもあるが、基本的にこのときの取材写真を軸に背景を描いている。

小川 石原さんの取材写真は東屋の写真が少なくて参考にし辛かった。東屋から見た景色の写真はいっぱいあるのに…。制作時の参考にするため、自分含めて京アニスタッフで大吉山に登った人も多い。

石原 今、3期のコンテ作業中だから取材写真がちゃんとあるかどうかっていうところに目が行くよね。久美子のベンチも最初はそんなに使わないだろうと思ってて、あとでロケハンし直したりしている。

大人数のキャラクターがいる作品。工夫していることは。

武田 楽器とキャラクターが乖離しないようにしている。キャラクターとキャラクターの組み合わせとかも考えつつ、キャラクターを構成している。

原作小説からアニメ化するにあたって工夫したことは。

石原 キャラクターデザインはぜんぜん違うデザインにする、という案もあったが、アサダニッキさんの原作表紙絵を参考にしている。表紙絵に描かれないキャラクターは随分悩んだ。

小川 キャラクターデザインは再考に再考を重ねた*5。石原さんの好みに寄せすぎず、でも石原さんにヒットするようなデザインを…というようなゲームみたいになってた。

石原 可愛いキャラクターを、という案もあったが、作品にシリアスな展開もあり、現在のものになった。

キャラクターを一人選ぶとするなら誰を選ぶか。

武田 久美子。どういうキャラクターなのか、というのをあまり考えずに書き始めた。久美子の深掘りをしていくのが3期の内容。

石原 優子。1期であんな汚れ役にしてしまって申し訳ないという気持ちから。

小川 あれがあっての優子ですよ。あれで好きになるんですよ。ある種の親心ですね。自分は、あすかと言わざるを得ないです。

3期について。

石原 今回は『アンサンブルコンテスト』の舞台挨拶だけど、正直に言うと頭の中は3期のことしかない。

小川 『アンサンブルコンテスト』を見ていると、3期で学年が上がっていることで混濁する。「なんで優子がいるの!?」と思うことも。『アンサンブルコンテスト』は助走だったな、と。自分を含め、スタッフにブランクがある、1期放映開始から約10年経っていて、高校の時に「ユーフォ見てました」っていう人が入社してくる。社内スタッフも変わっていく中でうまくできるか。そう考えながら『アンサンブルコンテスト』に取り組んだが、3期に向けて楔が打てたと思う。

 

 

以上です。
聞き取り漏れについてはご容赦を…。誤りがありましたらご指摘いただけると幸いです。

舞台挨拶の内容も面白かったですし、3期に向けて着々と準備が進んでいっていることに嬉しくも思うんですが、もう少し『アンサンブルコンテスト』の内容に突っ込んだお話も聞きたかったなあという気持ちもあったり。。。

ちなみに舞台挨拶内で投影された石原さんの取材写真は『響け!ユーフォ二アム2 コンプリートブック』P108~111にある取材写真とは違う写真でした。

同日の次の上映回でもお三方の舞台挨拶があったのですが、一人一公演の申込みということで断念。そちらもどんな話をされたのか気になります…!

*1:2021年に発売された『「響け!ユーフォニアム」5th Anniversary Disc~きらめきパッセージ~』。

*2:『届けたいメロディ』は小川さん初監督作品。

*3:2期4話。希美とみぞれのエピソードだったからあすかメインの『届けたいメロディ』では削られてました。

*4:京阪宇治駅の北側に「お茶と宇治のまち歴史公園」ができましたね。

*5:このあたりは『響け!ユーフォニアム キャラクターメイキングラフ集』に詳細な経緯が載っています。キャラデザを担当した池田晶子さんのコメントから、石原さんや山田さんからのいろんな要望に答えながら試行錯誤された様子が伝わってきます。

【7月17日】個人的京アニ関連ニュースまとめ

KAエスマ文庫で今秋、賀東招二さんと吉田玲子さんのオリジナル小説が刊行予定だそうです。

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とても楽しみなニュースです。両方ともアニメ化前提で動いてそうだなあと思うのは、お二人ともTVシリーズで構成やってるからでしょうか。KAエスマ文庫だから絶対…ってわけではないですが、ちょっと期待しちゃいます。
ただ、アニメ化するんであれば先に『二十世紀電氣目録』な気もしますけど…こっちはもう凍結しちゃったのかな…。

ラフイラストもあがっていますが、賀東さんのは門脇未来さんっぽい気が。吉田さんのはSNSとかで堀口さんって言われてましたけど…どうなんでしょうか。

KAエスマ文庫といえば京アニスタッフが応援イラストを描いたりするので、そこらへんも今後注目です。
最近だと『海姫マレ』の応援イラストを石原さんや池田和美さんをはじめ、作画セクション以外の方もあげていました…と書いてて調べてみたら公式HPにまとめてありました。

www.kyotoanimation.co.jp

澤真平さんが3つ描いててどれも印象違うのが面白いです。

 

『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』スタッフメッセージ付きムビチケが京アニショップで発売中です。

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気がつけば公開まで1ヶ月切ってしまいました。
定番となったスタッフメッセージ付きムビチケが今回も出るみたいです。ただ、今まで通りであればページ数はそんな多くないので、送料かかるのも考えるとちょっと割高感もあるんですが…欲しいことに変わりはないのでした。

今回のムビチケはこっちも良いなあと思ってたり。

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パステルカラーな色味がいい感じです。しかも2枚も付いてくるうえチケットホルダーもあるとか。どの二人を左右どちらのホルダーに入れるか、みたいなところで色々な論争が生まれる可能性がある商品です。恐ろしい。
というか、これで3,000円ってお得すぎでは?

『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』舞台挨拶がいっぱいあるみたいです。

anime-eupho.com

たくさんありますが、注目すべきは8月5日(土)の新宿ピカデリーですね。原作の武田さんと石原さん、小川さんが登壇されるそうです。抽選当たるといいなあ。
女性声優陣のトークをお父さんのように見守る石原さんも見たい気もしますが、時間とお財布と要相談。

 

Free!』10周年イベントに岡村公平さんが登壇されるようです。

fs.iwatobi-sc.com

京アニからは八田真一郎さんと一緒に岡村さんも登壇されるんだとか。岡村さんが登壇されるイベントって初めてですかね?
メンツ的にCDジャケットの話とかそういうのになりそうですけど、岡村さん拝んでみたい…。
でもチケット8,800円…!これも時間とお財布と要相談案件です…。

Freeシリーズは新作ありそうな終わり方でしたし、なんか発表ありそうなのがまた気になるんですよね。

 

木上さん作『小さなジャムとゴブリンのオップ』がアニメ化されるそうです。

www.kyoto-np.co.jp

ほぼ全ての作業工程を木上さんがされたという『小さなジャムとゴブリンのオップ』。本多敏行さん監督でアニメ化されるそうです。京都新聞の動画を見る限り、もうコンテもあがってるんですね。

www.youtube.com

今更ながら京都新聞の有料会員になってみました。過去記事読んでますが読み応えある記事が多いです。

 

以上です。

「私たちは、いま!!特別展」(オリオン書房ノルテ店 2023.6.30~8.3)に行ってきました。

『ツルネ』のトークセッション帰りにそのまま立川へ。ちょうどオリオン書房ノルテ店で展示が始まっていた「私たちは、いま!!特別展」を見てきました。

作品内容と展示数は以下の通り。

公式HPでは約60点とありますが、数え間違えでなければ93点。
オリオン書房の通常の展示場所から更に横に拡大しており、見応えありました。

『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

主に終盤のヴァイオレットとギルベルトのカットが多かったですが、ライデン市長に挨拶をするヴァイオレットとか冒頭のアンの家のレイアウトなど、序盤のものもいくつかありました。

アンの家のレイアウトは描き込み具合もあって目を引きました。テレビシリーズ10話のときもアンの家の中庭(?)は小物が多くて密度が高かったですが、劇場版のカットだとBOOKも複数あるうえ、この距離でのキャラクター芝居もあるわけで。
劇場版は全体的に引きの画面での芝居が多くて、レイアウトがしっかりしていないと破綻してしまいそうですけど、そうならない下地がきちんとあるのだな、と感じました。

 

線の「抑揚」や「とぎれ」、「ぷるぷる」といった指示書きが今回にも。このサインは石の字で石立さんですかね?
そういえば、『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 公式ファンブック』に載っている監督修正集も線の抑揚とかに気を遣ったような修正でした。*1石立さんの中で相当こだわりをもっている部分なのかもしれないですね。
展示されているカットも短いカットですが、涙をこらえる表情が時間の経過の中で変化しています。

涙を抑えようとして顔に力が入ったときのような痙攣と、そのあと息を少し吸って顔が上がる動き。その動きの間に顔の皺も変化があり、変化があることで表情に「抑揚」や「とぎれ」、「ぷるぷる」が生まれる…というような。
テレビシリーズのときにも泣きの表情にはこだわりを感じましたが、やはり劇場版で、なおかつ終盤の山場のカット。端書と線の質感から熱意が溢れてます。

 


ギルベルト宅で泣くギルベルト。最終盤の前の中山場的なシーンですが、作監は高瀬さんっぽいですね。同じく展示してあった版権のメモ書きを見ても、おんなじ字に見えます。
最終盤のシーンも高瀬さんの修正がたくさん載ってそうですし、相当手を入れてそうです。

 

ヴァイオレットの部屋の前でギルベルトが生きているかもしれないと話すカット。これは岡村さんっぽい気が。原画番号とENDの書き方。

 

ギルベルトの私物を探しに来た船のカットです。
これはどなたか分からないけど特徴的な字。今度過去の原画集を見てみたいと思います。

 

雨が降ったあとのカットにはこのように「ヴァイオレット雨濡れTYPE-○」と書かれていました。確認できた限りDまであって、雨の濡れ具合で色替えてるんでしょうね。ソフトについてきたブックレットには終盤のシーンは時間経過の演出で5つくらい色を作ってるという話*2が書いてありましたから、状況によってはめちゃくちゃ複雑な色決めがされていたのでは…。

『ツルネ -つながりの一射-』

主に12話終盤のカットと、13話の矢声のシーンの展示でした。

メインの展示は12.13話でしたけど、注目は11話作監修正のこれかもですね。11話は徳山さん初作監回。プロ入り初ホームランの試合を見たようなラッキー感。

 

12話ラストシーンの原画、作監修はどれも見応えありました。止めカットだから、というのもあるでしょうけど、表情の躍動感や線の強弱の表現が素晴らしいです。
そしてカット番号が500を超えていて、本編から10カット近く欠番があるみたいです。どんなカットだったのかコンテを読んでみたいです…。

 

若草色の総作監修正もありました。京アニの原画展ではレアな気がします。

 

13話の矢声カットは石立さんの原画っぽいです。静弥のカットの破片とか雅貴のカットのポージングのカッコよさが最高です…!

Freeシリーズ

大部分は最終章前編のカット。冒頭の遙や学園祭のカットもあって、本編のいろんなカットが展示されていたと思います。

 

最終章前編冒頭。freeシリーズ1話の定番といえる遙が水に漂って泳ぐカットなんですけど、上手なんですよねぇ。

 

1期からは11話の作監修正。原画展に1期のものが展示されるのは珍しいです。ちなみに11話は引山さんが作監でした。
3期からは6話終盤の原画がピックアップされていました。こっちのカットは人気シーンだからか、前も展示されていたのを見たような。

 

以上です。
オリオン書房ノルテ店での展示は頻繁にやってくれるのでありがたいです。特に今回のはボリューミーで見応えありました。
8月4日からは『響け!ユーフォニアム』シリーズと『リズと青い鳥』の展示があるみたいなので、そちらも楽しみです。

なんか何回撮り直しても写真が傾いたりする…8月4日以降に備えて写真を水平に撮る練習をしておきたいと思います…。

 

 

*1:『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 公式ファンブック』68~71ページ。

*2:『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』BOOKLET 39ページ。ここで小川太一さんが「TVシリーズではありえないことですね(笑)」って言ってますが、4色くらいの色変えを既に『AIR』11話でやってるんですよね。発案が三好さんだという話もスタッフコメンタリーで語られていましたが、石原さんが冗談交じりに「(三好さんは)無茶な要求を温和な顔でさらっというわけですよ。ひどい人ですよ。」と話していたのが印象に残ってます。

『ツルネ -つながりの一射-』 第11話~第13話振り返り特別上映& トークセッションに行ってきました。

ゆるくやっていきたいと思います…改めてよろしくお願いします。。。

 

さて、7月2日(日)に新宿ピカデリーで行われた『ツルネ -つながりの一射-』 第11話~第13話振り返り特別上映& トークセッションに行ってきました。

トークセッションの登壇者は山村卓也さんと湊役の上村祐翔さん。バンダイナムコの長尾さんの司会進行で約45分。上映後トークショーとしては長めで、11~13話の各話を振り返る、みたいな進行でした。山村さんの発言まとめと、個人的所感を書いてみたいと思います。発言はママでなく要約です。

11話

  • (11話の全体のテーマについて聞かれ)二階堂の気持ちの払拭と、静弥が崩れたところを湊が救う、というのを描きたかった。二階堂がやってきたことが辻峰を通して返ってくる。それを描けたのが11話。
  • 3話では湊が崩れたことによって風舞が崩れてしまった。11話では湊によって風舞が立ち直る。
  • 「息合い」とは「場を作ること」だと考えた。それを表現したのが8話から登場する波紋の演出。
  • (二階堂の描写について聞かれ)私怨から仲間がそばにいたことに気づくことができた。二階堂は主人公だな、と感じていた。
  • (トイレのシーンでの二階堂のセリフ)的が腹の幅が同じ、というのは斜面打起しの先生から聞いて、脚本に組み込んだ。的との距離は味方と敵が槍を突き合せた距離だという話も伺った。
  • (トイレのシーンについて)演出の太田さんには「静弥と二階堂、どちらも自分自身が正しいと思っている。何を言われてもそれぞれ引かないようにしてほしい」と伝えた。
  • (二階堂の射について)ハーモニー処理の提案は太田さんから。背景さんからあがってきたときには間の絵が足りてないように感じて、大丈夫かなと思っていたら撮影監督の船本さんが間を足してくれた。

 

ほとんどの話はスタッフコメンタリーでも山村さんが言及していました。トイレのシーンはそれぞれが立っている空間もまったく別々のような演出でしたし、山村さんの意向と太田さんのアイデアがうまく重なったシーンでしたよね。

ハーモニー処理に関して、船本さんが中割のような役割を果たしていたのは驚きました。コメンタリーでも船本さんが「仕上げた」という言葉を使って言及されてましたが、間の絵を入れていたんですね。ちなみにコメンタリーでは、背景担当の一山沙也香さんがハーモニー処理を担当されたという話もありました。

12話

  • ファーストカットは『はじまりの一射』のファーストカットと合わせている。どちらも幼少期の湊に寄ったカット。12話での湊の射は「どういうふうに育ってきて、どう成長してきたか」というのがわかるものにしたかった。
  • 12話は、今思うとよくあんなコンテが描けたな、と思う。カット数も499カットになった。打ち合わせがあるたびにスタッフに謝っていた。
  • 鶴岡音響監督からは11話の段階で「この話数が最終回でいいんじゃない?」と言われ、12話では「これ以上お前はなにするつもりだ?」と言われた。

 

今回のトークセッションでは「瞳の演出」という部分に言及がありませんでしたが、『はじまりの一射』も12話もファーストカットは瞳のブレが印象的なんですよね。アップショットそのものよりも「湊の心が動いた瞬間」という部分で合わせたかったのかな、と感じました。

499カットの話では湊役の上村さんにカット数の多さを驚かれ、「でも500は行ってないですよ!」と話されてた山村さん。立川での原画展に行ったらラストシーンのカット番号が500番台だったのが面白かったです。。。欠番カットがあったといえど、当初は普通に500超えるカット数じゃん…!みたいな。

13話

  • 愁を普通の高校生として描けた。湊と静弥とも距離を縮めることができた話数だった。
  • 波紋の演出はこの話数での砂紋からインスピレーションを得たため。砂紋は背景担当の落合さんが作ってくれた。
  • 制作当初のブレストでは夏祭りのエピソードから大会という流れだったが、1話の矢声で始まり、最終話も矢声で終わらせたかったため、この構成とした。

 

上記内容はコメンタリーでも言及されていました。

愁もそうですけど、13話は永亮も辻峰の同級生組と距離感が近くなった感じがあって、そこが好きです。

 

 

以上。

トークセッションが始まる前に録音録画だけはNGという話だったので、概要まとめるのはありかな、というところで一つ。

山村さんから、振り返り上映のためにSEを録り直したという話もありました。確かに、弓を引く動作の布の擦れや弓がきしむ音が鮮明に聞こえた気がします。

ツルネ関連のイベントは女性参加者が多いのでちょっと尻込みしちゃいましたが、最前列で生山村さんを拝見できたので、行ってよかったなぁと思いました。ただ、最前列かつ端っこだったんで、画面を斜め上に仰ぐ感じだったのがちょっと残念というか、ずっと画面がひし形みたいな形に見えました。

 

 

最後にいろいろなことに配慮した結果めちゃくちゃ端っこから撮影したトークセッションの案内画像を御覧ください。

 

【6月14日】個人的京アニ関連ニュースまとめ

遅報なニュース。

 

『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』公式HPで石原監督✕小川副監督 対談が公開されました。

anime-eupho.com

お二人の対談となると『小林さんちのメイドラゴンS』10話のコメンタリー以来ですかね。

小川 久美子の部長としての「序章」っていうのは大きなものの一つだと思います。TVシリーズ1期は吹奏楽部の活動そのものを描いて、2期では人間関係にフォーカスしてきました。では“久美子3年生編”の面白いところは何だろうかと考えたときに、一番大きなところは部長になった久美子が将来どうなっていくのか、というところだと思ったんです。(後略)

確かに、2期や『誓いのフィナーレ』では久美子は物語の中心でありながら久美子自身の物語ではなかった、という印象がありました。久美子がカンフル剤のような役割で、カンフル剤自らも人間関係の中の一人として渦巻いているような。3期や『アンサンブルコンテスト』では久美子が動くことによって北宇治高校吹奏楽部がどうなるのか、今まで頭の中に閉じ込めがちだった言葉をどのように吐き出すのか、という部分が楽しみです。

そして物語の展開と合わせて演出がどう変わるのか。シリーズ演出の山田さんが去ったあと、小川さんがどういう働きをするのか。注目要素が多いです。

小川 (前略)鶴岡さんは久美子役の黒沢(ともよ)さんに「ようやく黄前久美子の物語が表現できるな」といったニュアンスのお話をされていました。また、「今までのものを享受しよう」ともお話しされていて、なるほどと思いました。「つないで」いこうではなくて、「享受」することによってまた新たなものに進化していくということなのかと。(後略)

音響監督の鶴岡さんエピソードは言葉の強度が高くて、それでいて的確なんですよねえ。単に「成長」とか「進化」みたいな言葉じゃなくて、今までの表現があって、その上で最上級生になった久美子たちを作るという「享受」という言葉は、ファンとしてすごく納得できる言葉だな、と。真新しい変化や進化を見せてくれるクリエイターの姿はかっこよくもありますが、ここまで続いたシリーズで重要なのはそうではない、ということをすごく理解されている気がしました。

スタッフコメンタリーでも鶴岡さんのエピソードは印象的な言葉と合わせて記憶に残っていることが多いです。『響け!ユーフォニアム』11話のコメンタリーではこんなトークが。

石原 BGMのメニューは僕が作ると「勇ましい曲」とかでアイデア出しをするのだけど、今回鶴岡さんに作ってもらったメニューは素晴らしい、詩的なメニューだった。

斎藤 普通なら「日常1」とか「テンポ早く」とかだけれど、鶴岡さんのは「青春の流転」とか、そういったメニューだった。劇伴作家との化学反応を楽しんでいる気がする。

響け!ユーフォニアム』のサントラを買ったとき、楽曲名の硬派なネーミングにびっくりした記憶がありますが、これ鶴岡さんのワードなんですよね。言葉のチョイスと強度が素晴らしい。心の芯で納得させてくれる鶴岡ワードです。

たまこまーけっと」10th AnniversaryのHPに堀口さんの新規イラストが。

tamakomarket.com

びっくりしましたね~。京アニが退社した人にお仕事依頼っていうところがなによりびっくりでした。
個人的な一番の注目ポイントは史織のカーディガンですね。左手首まわりのダボッとした感じとか、傾いた右側にカーディガンが垂れてる緩さとか。さすが、カーディガンの魅力のすべてを熟知されている堀口さんです。

特別上映も行こうかなと考えていたんですけど、思ったよりハコが小さくて席が埋まっちゃってて、う~んって思ってたら終わっちゃいました。
自分の大切な作品を見るときってなんか周りの小さい音とかに敏感になっちゃうので。家で見たほうが良いよな、というちょっともったいない結論を迎えてしまいました。

今年も京アニ音楽フェスをやるようです。

kyoani-event.com

まぁそうだろうなあとは思ったんですが。個人的にはトークショーや大規模な原画展とかあった以前のイベントが良かったなあと思ってしまいます。

ただスタッフコメンタリーも復活しましたし、可能性はゼロではないと思うんですよねぇ。いつかまた、直接感謝の言葉を伝えられる日が訪れるといいな、と思います。